学生時代、とある研究室の成果発表を聞く機会があった。
その研究者がどれだけ正確に実験し、どれだけ深く考察したのか、
初対面の私には知る由もない。
にもかかわらず、研究者が表紙をめくって1スライド目を映した時、
「この人の研究は素晴らしいに違いない!!」
と、たった1秒で思ってしまった。いや、思わされてしまったのだ。
デザインには、資料の内容や話し方以上に、
聴衆を魅了する大きな力がある。
そしてそれは、決してアートのような才能が必要なわけではない。
いくつかの規則を守れば、誰でも質の高い資料を作成できるはずだ。
本記事では、特に筆者が重要と感じた、
「デザインの良いスライドに共通する3つのルール」を紹介する。
文章がただ羅列しただけの、原稿用紙のようなスライド、たまにある。
確かに情報は漏れなく記載されているかもしれないが、
何より見づらいし、わかりにくい。
聴衆がいちいち目で追う必要があるから、
見ていて疲れやすいスライドになってしまう。
「グラフ・イラストでイメージ化し、
聴衆が一目で、頭を使わずに理解できるように心がける」
ことが大事だ。
(出典:https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/dhb167/)
こちら、モイ株式会社さんの事業概要スライドだ。
例えば、上のスライドが文章になっていたら、
①視聴者はツイキャスでユーザー登録やポイント購入をする。
②配信者はツイキャスでユーザー登録や収益化申請を行い、報酬を受け取る。
③ツイキャスは上記サービスをwebサイト・アプリで提供し、2021年の売上は54.7億にのぼる。
のようになるだろうか。
①~③までの流れを文字で読むよりも、
イラスト化した方が速く理解できるし、何より分かりやすい。
カラフルなスライドは原則やめよう。
目がチカチカする・何を強調したいのかわかりづらい、等のデメリットがある。
ベースカラー・メインカラー・アクセントカラー(例えば、黒・青・赤)
の3色程度が落ち着いて見やすい。
(出典:https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/dhb167/)
これもモイ株式会社さんのスライドだ。
ベースカラーに黒・メインカラーに青、アクセントカラーに緑を選択している。
カラフル過ぎず、かつ青と緑のコントラストが鮮明で、非常に見やすいスライドになっている。
また、場合によっては3色だけでは表現できない時もある。
そんな時は、色の種類は変えずに、
「明暗度・フォントの大きさや太さ」で差を出すのが良い。
例えば、↑のスライドの円グラフだと、青と青色を明るくした水色を使うことで、
同系統の色を使いつつ(カラフルさを増さずに)、データの違いを表現している。
※
また、配色パターンを決めるためのツールも多く存在するため、
困ったときは試してほしい。
↓
https://webdesign-trends.net/entry/15213
余白がないくらいギチギチに詰まっているスライドは、
いわゆるビジースライドとも呼ばれ、見づらいスライドの最たる例である。
ただ、反対に余白があれば良いというものでもない。
あまりにスカスカすぎると、
「ちゃんと調査してないんじゃないか、情報が不足してるかもしれない」
などといった悪印象を与えてしまう。
ビジーすぎず、かつスカスカにならない程度に余白を作る必要がある。
以上が、筆者が特に重要だと感じている、スライドを作る際の3つのコツだ。
最後に、
筆者がよく見るパワポ作成の参考資料を記載する。
これらを基にしてテンプレートを作っておくと、
質の高いスライドを手早く作成できるだろう。
<Webサイト>
・パワポ研:https://note.com/powerpoint_jp/
各企業の決算資料から、特に優れているスライドを整理して紹介してくれている。
グラフ・表といったスライドの内容別、配色別のオススメもまとめてくれており、
非常に参考となる。
・わさおのブログ:https://itconsultant-dictionary.com/powerpoint-design-example/#i-6
各コンサル企業(日系・外資両方)のスライドがまとめて紹介されている。
こちらもパワポ研と同様、表やグラフといった内容別で整理してくれている。
<書籍>
・プレゼンテーション Zen
スライドのサンプル集として。
画像の大きさ・色合い・配置箇所など、
グラフィック面で参考になるスライドが詰まっている。
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